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経理が一人の会社で退職が決まったら|止まる業務と今すぐやること

経理の山田さんは、創業のころから20年、たった一人で会社のお金まわりを支えてきました。支払いも、請求書も、給与計算も、銀行とのやり取りも、すべて山田さんに聞けば答えが返ってくる。社長のあなたは、数字の報告を受けるだけで経理が回ってきた——。

その山田さんから、退職届が出た。

このとき多くの経営者が気づきます。自分の会社の経理が、何がどこでどう動いているのか、誰も説明できないということに。この記事では、一人経理の退職で実際に何が止まるのか、そして退職日までに会社側が何をすべきかを整理します。

なぜ「一人経理の退職」はここまで危険なのか

経理が二人以上いる会社なら、一人が辞めても残った人が業務を知っています。一人経理の場合、その人の頭の中が会社で唯一の「経理マニュアル」です。

しかも経理は、止まった瞬間に外部へ影響が出る業務です。仕入先への支払いが遅れれば信用問題になり、請求書が出なければ入金が止まり、給与が遅れれば社員の生活と信頼に直結します。営業の引き継ぎ漏れは社内で吸収できても、経理の引き継ぎ漏れは取引先・銀行・社員・税理士という社外との接点で表面化するのです。

これがいわゆる経理のブラックボックス化、属人化の怖さです。担当者に悪意がなくても、20年同じ人が回してきた業務は、本人すら「何が自分にしか分からないのか」を把握できていないことが珍しくありません。

経理業務の停止インパクト早見表

退職後、引き継ぎがないと何がいつ止まるのか。代表的な業務を整理しました。

業務止まると起きること影響が出るまで
支払い・振込仕入先への支払い遅延、信用低下、取引停止リスク数日〜2週間
請求書発行・入金確認売上の入金が止まる、未入金の回収漏れ月末〜翌月
給与計算・社会保険給与遅配、社員の信頼喪失、手続きの遅延次の給与日
月次処理・税理士対応試算表が出ない、融資・決算に支障1〜2か月

注目してほしいのは「影響が出るまで」の短さです。月次が止まるのは1〜2か月先でも、支払いと給与は最初の締め日・支払日で即座に止まります。引き継ぎの優先順位は、この表の上から順に付けるのが原則です。

一人経理が抱えているもの

一人経理の退職で止まりやすい業務。支払い・振込・ネットバンキング操作、請求書発行と入金確認、給与計算・社会保険手続き、月次処理と顧問税理士とのやり取り

一人経理が抱えているのは、会計ソフトの操作方法だけではありません。

  • 手順:月初・月中・月末・年次で何をどの順にやるか
  • 判断基準:この経費はどの勘定科目か、どの支払いを優先するか
  • 関係先との文脈:銀行の担当者、税理士とのやり取りの経緯、取引先ごとの締め支払い条件
  • アクセス情報:各種システムのID・パスワード、ネットバンキングの権限、印鑑やカードの保管場所

退職で失われて一番痛いのは、実は手順そのものより判断基準と文脈です。手順書が残っていても「イレギュラーが起きたときどうするか」が残っていないと、後任は毎回手が止まります。

一人経理特有の「事故ポイント」を先に潰す

引き継ぎ全般の話の前に、一人経理ならではの落とし穴を確認してください。退職後に発覚すると深刻です。

  • ネットバンキングの権限:振込承認の権限が退職者個人のIDに紐づいていないか。退職後にログインできず振込が一切できなくなるケースは典型例です。権限の移管と、退職者IDの削除をセットで。
  • 小口現金:現金残高と帳簿は一致しているか。退職前に必ず本人立ち会いで実査し、記録を残します。万一の不一致も、在職中なら確認できます。
  • パスワードの所在:会計ソフト、給与ソフト、電子申告、ネットバンキング、税務署・年金事務所関連のID。本人の手帳やブラウザにしか保存されていないことが非常に多い項目です。
  • 代表印・銀行印・法人カードの管理実態:規程上の管理者と、実際に日々使っていた人がずれていないか。

これらは「業務の引き継ぎ」以前の、会社の資産と権限の引き継ぎです。退職日を過ぎると確認すら難しくなるため、最優先で着手してください。

退職日までにやるべきことの進め方

基本の進め方は次の3ステップです。

  1. 棚卸し:本人へのヒアリングで業務を全部書き出す(完璧でなくてよい)
  2. 優先順位付け:早見表の順に「止まると即困る業務」から
  3. 文書化:手順だけでなく、判断基準・イレギュラー対応・パスワードの所在まで

何を聞き出すべきかの全体像は、無料の引き継ぎチェックリストを使うと漏れを減らせます。すでに「引き継ぎがほぼできていない」状態なら、退職の引き継ぎができてないときにやるべきことで対処の順番を詳しく解説しています。

なお、税務・労務の専門判断(税額の計算根拠や社会保険の適否など)は、必ず顧問税理士・社労士に確認しながら進めてください。社内で完結させようとしないことも、事故を防ぐポイントです。

時間も後任もないときの選択肢

「退職日まで2週間。後任もいない。本人も忙しくて引き継ぎ資料を書く時間がない」——一人経理の退職では、これが現実です。

その場合、第三者が退職者にヒアリングして、業務を文書として会社に残すという方法があります。引き継ぎレスキューは、退職予定者しか知らない業務を辞める前に聞き出し、後から誰が見ても分かる形で整理するサービスです。最短1週間、緊急時は最短当日にヒアリングを開始し、3〜5日で支払い・請求・給与といった主要業務から整備します。基本パック30万円〜(緊急対応オプション+20万円〜)、NDA対応、後任が未定のままでも依頼できます。

短期間での進め方の実際は、退職まで1週間で間に合わせる方法も参考にしてください。

まとめ:一人経理の退職は「会社の問題」として動く

引き継ぎは退職する本人の善意に任せるものではなく、会社が主導して進めるものです。

  • 支払い・給与など「すぐ止まる業務」から優先する
  • ネットバンキング権限・小口現金・パスワードの所在を真っ先に確認する
  • 手順だけでなく判断基準と文脈を残す
  • 専門判断は顧問税理士と連携する

20年分の経理の知見は、退職日を過ぎれば二度と聞けません。まずは無料チェックリストで、自社の経理に何が眠っているかの棚卸しから始めてください。

よくある質問

Q. 経理担当が一人しかいない会社で、退職までに最低限引き継ぐべきものは何ですか?
最優先は「お金が動く業務」です。支払い・振込のスケジュールとネットバンキングの操作方法、請求書発行と入金確認の流れ、給与計算の手順、各種パスワードの所在の4つを先に押さえてください。月次処理や細かい帳票類はその後で構いません。
Q. 後任が決まっていないのに引き継ぎはできますか?
できます。後任に直接教えるのではなく、業務の手順・判断基準・パスワードの所在を文書として会社に残せば、後から入る人や顧問税理士がそれを頼りに業務を再開できます。引き継ぎレスキューも後任未定のまま依頼可能です。
Q. 退職日まで1〜2週間しかありません。間に合いますか?
第三者が集中的にヒアリングする方法なら、最短1週間で主要業務の整理が可能です。緊急対応では最短当日にヒアリングを開始し、3〜5日で支払い・請求・給与など止まると困る業務から優先的に整備します。

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